人は音楽をきちんと観察していない
- sapporobukkyoujuku
- 8月11日
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人は音楽をきちんと観察していない この苦・楽・非苦非楽というのは、いいかげんな感覚で、しっかりしていないのです。音が入ってきて楽が生まれたなら、次に音が入ってもまた楽が生まれるというなら、数学的で正しいのです。「ある特定の音が入った。ある楽しい感覚が生まれた」というならば、同じ音が入ると、また同じ量の楽しみの感覚が生まれるはずです。それを続けていくと、ずうっと楽しみが生まれ続けるはずなのです。しかし、感覚の世界はそうではなくて、随分いいかげんです。同じ音質の音が耳に触れるのに、時と場合によって、楽しみが生まれたり、苦しみが生まれたり、非苦非楽が生まれたりするのです。そういうことを、キメ細かく観察しないと人には智慧が生まれてきません。 人は、音楽はいかに美しいか、ということをきちんと観察していないのです。頭ごなしに「音楽を否定する人はみんな人格が悪い」と思っているでしょう。シェイクスピアのドラマでも、悪役の人格を表現するときには必ず音楽を嫌っているという設定を入れるのです。『ベニスの商人』の悪役シャイロックも音楽が嫌いです。「この連中の音楽が流れてくるから家のなかまでうるさくてしょうがない。窓を閉めなさい」と娘に言う台詞があります。シャイロックは音楽が嫌い。なぜかというと悪役だからです。そこで良い役をやっている人は遊び好きで酒を飲んで音楽を奏でてという設定になっています。本当は逆なのです。むしろ音楽に凝っているということは、頭が悪い証拠なのです。【アルボムッレ・スマナサーラ、大念処経、株式会社サンガ2016 p140】
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