項目戒律の存在意義
- sapporobukkyoujuku
- 11月12日
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項目戒律の存在意義 戒律が必要とされる理由は、自分の精神状態をチェックする能力が皆にあるとは言えないからです。ですから、戒律・規則をいちいち項目として設定して教えてあげなくてはいけなくなったのです。 例えば、「殺してはならない」という項目が設定されています。ある人に怒りが湧き上がったとしましょう。自分の怒りの感情に気づかず、相手が悪いと思うばかりです。殺意も起きます。しかし、規則を守らなくてはいけないので、相手を殺すことをやめます。それで湧き上がった怒りは目的に達することができなくなります。またその人に、怒りによる殺意ではなく、相手を侮辱したいという意志が生まれたとします。この場合は「他を侮辱してはならない」という規則が対応します。その人がその規則を守る気になっているならば、罪を犯さずに済むのです。品格は守られます。 この段取りを考えると、項目戒律はかなり厄介なものであると理解できます。貪瞋痴の感情が湧き上がったら、人は何をするか分かったものではありません。人が罪を犯すたびに、戒律項目を設定しなくてはいけないのです。これは終わりのない作業になります。戒律項目はどんどん増えていくのです。一人の人間にとっては、たくさんの規則を守るどころか、憶えておくことさえ難しくなります。これは項目戒律の短所です。しかし仏教の出家戒律は、このような段取りで現れたものです。【アルボムッレ・スマナサーラ、ブッダの実践心理学第8巻、株式会社サンガ2013 p62】
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